株式会社アトリエえい子が毎年10月にパリで開催されているアートフェア「Art Shopping Paris」に出展を決めたのは、フランスで作品を「アート」として発表し続けるためでした。
「先生がご存命の間は、フランス国民美術協会の会員として、作品を『漫画』ではなく『芸術』として発表する機会がありました。当時も『漫画を超えている』と評価をいただいていたので、そういった機会を再び得たいと思っていたところ、このアートフェアを知りました」と、河合さんは言います。
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今も多くの人の心を捉える、花村えい子さん作の少女たち
アートフェア会場の入り口近くにあったブースには、時代を越えたかわいらしい作品が大小さまざまに展示され、先進的にさえ感じられる「花村ワールド」が繰り広げられました。
そうした作品の魅力や見せ方に加えて、個展開催の重要なきっかけになったのが、事前の招致活動でした。
「漫画『霧のなかの少女』のフランス語版でお付き合いのある出版社から、漫画関係の作品を扱っているギャラリーを紹介いただいていたので、展示を見てもらえるよう担当者をヴェルニサージュ*にご招待しました」
* 展示会開催の初日に行われるオープニングパーティー
年代を超えた作品が一堂に揃ったブース
来場したギャラリーの担当者は、展示ブースを見て「個展をやりましょう」と即決したといいます。
「最初は、合同展ならすぐにできるよ、という話だったんです。でも、実際に作品を見ると『素晴らしいので、一部だけではなく全部飾れるよう個展にしたい』とおっしゃって、こちらも『ぜひぜひ』と。すぐに話が決まりました」
ギャラリストの、良いと思ったものに対する情熱の真っすぐさや、日本にはないスピード感が新鮮だったと、河合さんは振り返ります。
懐かしくも新しい作品の数々
ついに翌年2月、パリ5区にあるギャラリーで10日間にわたり「花村えい子個展」が開催されました。4カ月足らずの準備期間には、思わぬ苦労もあったそうです。
「アテにしていた、紹介者である出版社の担当が忙しすぎて、なかなか話が進みませんでした。最終的にはギャラリー担当者と直接、展示作品から各種権利関係の契約までまとめていったのですが、とにかく時間がありませんでした」
特に、フランスは日本に比べて著作権に関する認識が甘く、その点のズレの修正に苦労したとか。
ギャラリー「Achetez de l’Art」での展示。オリジナル作品も
個展前日には、ギャラリストと一緒に河合さん自ら展示調整を行いました。
「ギャラリストがストレートに意見を伝えてくるのですが、作品へのリスペクトも感じられたので、かえってやりやすかったです。意見交換しながら調整ができ、良い時間になりました」
初めてのことに戸惑いや苦労がありながらも、それを乗り越え、ギャラリーの顧客やインフルエンサーといった来場者とともに、無事にヴェルニサージュを迎えたのでした。
多くの人が訪れにぎわったヴェルニサージュ
今後もフランスでの展開を様々計画中という株式会社アトリエえい子。
ジャパンプロモーションでは、これからも充実した海外進出の第一歩となる場を提供してまいります。
海外展開にご興味をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。