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NYグループ展「BREAKTHROUGH -New and Rising Japanese Artists-」開催レポート

2024.8.20
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ニューヨーク、トライベッカ地区を海上から見た様子

波しぶきが届きそうなほど海に近く、真っ青な空を貫く高層ビル群。快晴のニューヨークで5月、新進気鋭の日本人アーティストたちによるグループ展が開催されました。2会期通算10日間、どのような内容だったのか、どのような反応があったのかをレポートします。

イベント名:BREAKTHROUGH -New and Rising Japanese Artists-
会期:第1会期、2024年5月8日(水)~12日(日)
   第2会期、2024年5月15日(水)~19日(日)
会場:One Art Space(公式HP:https://oneartspace.com/

現代アートの聖地、ニューヨーク

市内に1500のギャラリーと80以上の美術館が存在し、世界中のアーティストたちがこの地を目指します。今回のグループ展の舞台となったのは、ニューヨークの代名詞とも言えるマンハッタン島。その最南端エリアにあるトライベッカ地区です。富裕層が住む高級住宅街として知られ、ニューヨーク市内で最も安全な地区とも謳われています。

ニューヨークのアートシーンは常に変化を続けており、大手ギャラリーも次々に、かつて盛り上がりを見せていたチェルシー地区からトライベッカ地区へと移転しています。最新トレンドに関するイベントが開催されたり、ラグジュアリーブランドが出店したりと、トライベッカは「ニューヨークカルチャーの今」を最もリアルに体感できる街になりました。
木々の両脇に高層ビルが立ち並ぶトライベッカの景色。道路には多くの人が行き交っている

多くの人が行き交うトライベッカ

“始まった”グループ展

そんなトライベッカで開かれたグループ展のテーマは、「BREAKTHROUGH -New and Rising Japanese Artists-」。前進、躍進、突破口――キャッチコピーに「始めなければ、始まらない」を掲げ、そのとおり一歩を踏み出した選抜日本人アーティスト計38人の作品が並びました。

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1st period~1会期目

墨やモノトーンなど日本を連想させる作品が多く並びました。日本文化や「禅」が好きという人、時間をかけてじっくりと鑑賞する人など、1人あたりの滞在時間が長い印象です。肩に禅の書画で知られる「円相」のタトゥーを入れている人は、会期中、何度も通ってくださいました。いわゆる日本好きの人たちの胸に刺さった会と言えるかもしれません。

ライブペイントを行ったアーティストは2人。天然由来の顔料や越前和紙などを使い、禅に通底する作品を手掛けているYUKIKO氏は、3つのサークルの上にそれぞれ「愛」「平和」「ありがとう」を描き上げました。
ストリートアートと抽象画をミックスした作風が特徴のHikaru氏は、ペイントの途中でゲストと交代。代わるがわる筆を持ち、来場者は「私も描けるの!?」と楽しんでいました。最終的にHikaru氏が仕上げると、その作品は参加者の一人が購入されました。

※ 1st periodライブペイントの様子はこちらでもご覧になれます
https://www.instagram.com/p/C6-_IRFPw8h/

ガラス張りのギャラリーの外側から中の様子がうかがえる。飾っている絵や多くの人が出入りしている様子がよく見える

場内の雰囲気が外からも見てとれる

2nd period~2会期目

1会期目とは打って変わり、カラフルな作品やポップなイメージのそれが目を引く会に。両会期とも訪れた人が「全然違いますね」とコメントを残すほど異なる雰囲気です。エネルギッシュな雰囲気が外からでも感じ取れたのか、通りすがりの来場者も複数いました。

この会期も2人のアーティストがライブペイントを行い、それぞれ注目を浴びていました。
書道家の藤林聚香氏は、書道と日本舞踊を組み合わせたオリジナルのパフォーマンスを披露。舞いつつも筆をしならせ、書の曲線と柳腰がオーバーラップするような一幕でした。
大きく広げた白い布に、塗料を踏んだ足でその跡を付けていく「足跡ペインティング」を見せたのは、美術作家の野左近美咲氏。背景には波の音とアロマの香り。ショートムービーを見ているような時間でした。
※ 2nd periodライブペイントの様子はこちらでもご覧になれます
https://www.instagram.com/p/C7WKSicvIwM/

セカンドピリオド(2会期目)のレセプションパーティーの様子。多くの来場者がカラフルでポップな作品に囲まれている

2nd periodのレセプションパーティー

両会期を通じて

ライブペイントを2会期とも設けたように、レセプションパーティーもそれぞれ開催。いずれも盛況で、2つの異なる展示会が開かれたような印象も残ったようです。また、ニューヨーク在住のギャラリストでアートディレクターの戸塚憲太郎氏を招き、各アーティストへの講評もいただきました。

ニューヨーク在住のギャラリストでアートディレクターの戸塚憲太郎氏が、作品一つひとつと向き合い講評をスマホに録音している様子

作品一つひとつと向き合い講評していく戸塚氏

なかには個別のアーティストをめがけて来場する人もいた会。ざわつくことなく、ゆっくりと全体を見て、作品に浸っていくひと時は、アートフェアとは違う、グループ展ならではの過ごし方のように思います。
一方で、ギャラリーの立地と路面店という特長から、ギャラリーにふらりと立ち寄る人も珍しくありませんでした。近くの3駅からアクセスでき、1分ほど歩けば大通りに出ます。「これは何の会なの?」と聞いて日本人アーティストの作品だと知ると、プロフィールを見たりメモを取ったり。時には嵐のように来て去っていく人も。それは、パワフルで自由に生きる“NYらしい”人たちのように感じました。アーティストや表現者が多く、刺激のある出会いも生まれます。

ニューヨークという現代アートが集まる聖地で、日本のパワーを見せつけたい。そんな思いで、これからを切り開くアーティストに集まっていただいたグループ展。狙いどおりに見せつけられたのではないでしょうか。
弊法人では引き続き、世界各地での個展やグループ展を積極的に行い、優れたアーティストと共に“始めて”まいります。
「始めなければ、始まらない」から。

ギャラリーの出入り口に、グループ展のキャッチコピー「BREAKTHROUGH」が書かれたポスターが置かれている

今回のグループ展のテーマ。ギャラリー前で

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