くまモンからのメッセージ!
――最初に、武田さんとくまモンの関係をうかがえますか
私はくまモンを担当する課の一員であり、くまモンの部下で、海外出動の担当者でもあります。
――部下ですか
くまモンは、「営業部長兼しあわせ部長」という役職を持っています。熊本県は上から知事、副知事、部長という順で構成されていますので、実はくまモンは結構エラいんです。一般企業で例えると取締役ぐらいでしょうか。熊本県庁に営業部もしあわせ部もありませんけどね(笑)。
2023年のステージより
――くまモンは国を越えて活躍していますが、それはいつ頃からでしょうか。目的も教えてください
国内の認知度が高まったあとの2013年以降、フランスを含め海外で活動を始めました。海外に限りませんが、一番の大きな目的は熊本県のPR。それに加えて、「皆さんにサプライズとハッピーを届ける」というミッションを掲げています。ダンスが得意で、ちょっと“やんちゃなくまモン”を見てもらって、くまモンと熊本県を覚えてもらう。どこから来たの!?という気持ちが導入になるのは、キャラクターとしてもユニークだと思います。
――コロナ禍を除き、13年から毎年JAPAN EXPOに参加されていますが、反響や成果はありますか
20~22年の3回はコロナの影響で行けなかったのですが、23年に行くと「久しぶりに会えた!」「待ってたよ~!」という反応が多かったです。くまモンが出演するステージに集まってくる人が多くて、みんながくまモン型のサンバイザー「モンバイザー」を欲しがっていたので、くまモンの人気が高いことを実感しました。
私たちがインタビューしたフランス人は、「くまモンが大好きだから今度、日本に行ったら必ず熊本県にも行きます」と言っていて、ほかにも「熊本に行った」という声も聞けました。くまモン柄の靴下を履いている人もいて、信じられない思いがしました。そんな様子をリアルで見られたのは次のプロモーションを考える糧になりますし、熊本のPRキャラクターを支えている立場としては本当にうれしいです。
2023年のステージより
――16年のジャパンエキスポは約3カ月前に熊本地震があった回で、とても印象的でした。会期中に七夕があったので笹を立て、熊本への震災応援ブースとして来場者に短冊を書いてもらったんですよね。書けば何かをもらえるというわけでもないのに、来場者は応援したい気持ちをしたためて笹につるしていました。用意していた2000枚の短冊は、イベント3日目には在庫切れ。その前からくまモンは人気だったので、象徴的だなと思いました。フランス以外の海外でも人気が広まっていると感じますか
そうですね。アジアだと主に中国や香港、台湾などでの認知度が非常に高くて、距離が近いこともあり、呼んでいただく機会も多いです。
ヨーロッパで言えば、大手企業とのコラボレーションが複数あります。クリスタルブランド「バカラ」、キッチンウェア「ル・クルーゼ」、テディベアで知られる「シュタイフ社」など。化粧品メーカーの「ロクシタン」は継続的にコラボレーションしていて、その売り上げの一部を熊本の植林にあてる活動をしてくださっています。ほかにも、売り上げの一部を熊本県に寄付してくださる企業もあるんですよ。
でも、海外での人気や認知度が高いことを知らない日本人は多いです。公私ともによく説明するのですが、「ウソだろ」と言われてなかなか信じてもらえません。
――ジャパンエキスポに参加するにあたり難しい点はありますか
ヨーロッパに行く機会は、どうしても相対的に限られてしまいます。行政組織なので、「どうしてそこに行くのか」とも問われます。ジャパンエキスポは、日本に対して非常に関心の高い人たちがたくさん集まる場で、しかもそこにちゃんとステージがあるということが明白です。出動をお願いしますと言っていただけるのは光栄ですし、熊本のPRとして行く理由が説明しやすいです。
そういった意味では、余裕をもってスケジュールが決定されるとさらに予定が組みやすくなり、フランス訪問の効果を最大化できるので、ありがたいです。
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――あのステージを楽しみにしている人も多いと思います。ゲストとあんなに近づいたコミュニケーションはなかなかできないので、そういう意味でも特別な場ではないでしょうか
そうかもしれませんね。生のくまモンに会える機会は熊本県民でも限られています。ずんぐりしたものが音楽に合わせてめちゃめちゃ動くのが面白いし、ノンバーバル(非言語コミュニケーション) です。言葉がわからなくても皆が笑顔で見てくれるんですよね。
――認知度が高まった今、どういう思いでジャパンエキスポに参加されますか
新規のファンを獲得するためにどんどんPRしたいと思っています。もっと会場内を練り歩いてもいいのかもしれません。ジャパンエキスポを生かしたヨーロッパへのプロモーションは非常に有効なので、日本好きの参加者だけでなく、それ以外の方々にもより広まることを期待しています。
2023年のステージより
(聞き手:ジャパンプロモーション編集室/取材2024年1月)