1400億円を投じて建てられた世界一の超高層タワー「ブルジュ・ハリファ」を筆頭に、数々の超高層ビルが建ち並び、オイルマネーで潤う世界都市として知られる中東・ドバイ。同じくアラブ首長国連邦(UAE)に属し、ビジネスや行政の中心地として栄えるアブダビ。
両国は現在、新しいアートの需要、新規の顧客開拓が期待できる好奇心旺盛な新興市場として世界中から熱い注目を集めています。
既に成熟したアート市場を持つヨーロッパやアジア諸国とは異なる上昇気流のエネルギーに包まれたシーンの「今」をご紹介します。
中東屈指の世界都市として、金融、観光、ITによる急激な経済発展とともにその名を馳せてきたドバイ。東西貿易の中継地点として発展してきた同国には現在、世界各国から日々新たなアートが集まり、可能性に満ちた市場が展開されています。
中でも中東地域最大規模のアートフェア「ワールド・アート・ドバイ」は、2015年のスタートから毎年参加ギャラリーを増やし、MoMAやロンドンのテートモダンといった欧米の美術館からもキュレーターが視察に訪れるなど注目度は抜群。2017年度はこれまでよりも会場面積をさらに拡大し、作品数・内容ともにスケールアップしたイベントとなることが予想されます。
王族も来場し熱気に包まれた「ワールド・アート・ドバイ2016」
一方、ドバイではここ数年で「メイド・イン・ジャパン」に対する歓迎ムードがどんどん高まっているといいます。
ショッピングモールとして世界最大の広さを誇るドバイ・モールにはお菓子メーカー・YOKUMOKUをはじめ、紀伊国屋、Sony、MUJI、Canon、Asicsなど日本でも有名な企業が複数参入し、賑わいを見せています。
また現地で人気No.1の日本料理店「Zuma」は連日行列ができるほどの盛況ぶり。日本円にして一杯3000円相当の日本酒も次々とオーダーされるなど、セレブな客層からの人気を集めています。繊細で味わい深い日本の食やSAKE文化はドバイの人々にも広く受け入れられているようです。
数多くの日本企業がドバイに進出
日本の名酒はドバイのセレブたちにも大人気
高級ホテルを思わせる日本料理店「Zuma」の豪華な内装
2020年にはドバイ万博の開催も予定されており、文化・芸術に対する国をあげての取り組みが益々加速することが予想されます。
石油大国として知られるUAEの首長国・アブダビ。他とは一線を画する超一流の格式を誇る一方で、少々お堅いイメージが先行しがちな同国ですが、10年ほど前から芸術や教育、環境保護などを主軸に開発事業に着手し、文化芸術の中心地へとイメージチェンジを図っています。
ヨーロッパ、アジア、北アメリカ、中東の新鋭ギャラリーから世界トップクラスのモダン・コンテンポラリーアートが集結する「アブダビ・アート」や、パリ・ルーヴル美術館初の国外進出で大きな話題を呼んでいる、オープン間近と噂の「ルーヴル・アブダビ」など、国中で多様性に富んだアート市場が次々と展開され、かつてない盛り上がりを見せています。
「アブダビ・アート2016」
アブダビが世界に誇る7つ星ホテル・エミレーツパレスの館内にも、アートの豊潤な香りが漂います。才気溢れるアーティストたちによる個展は随時開催され、訪れる人々を特別なアート体験へと誘います。
また同ホテル内には日本の茶道裏千家が寄贈したという黄金の茶室も。重厚な輝きに包まれたこのスペースはアラビア語で「緑のオアシス」と名付けられ(日本名は「緑水庵」)、現地の人々に向けた茶道教室も定期的に開催されています。
ドバイに比べると日本文化の進出はまだこれからといった印象ですが、国内外の文化・アートに対する積極的な姿勢は、今後の発展を十二分に予感させるものと言えそうです。
光り輝く茶室「緑水庵」
本年の「アブダビ・アート」に出展した3名のアーティストたち。彼らは現代の中東アートシーンに必要不可欠なキーパーソンとして、国内外から熱い注目を集めています。
■ナジャット・マッキー
UAE初の女性博士・ナジャット氏は、近年油彩によるペイントだけでなくクリスタルガラスをモチーフとした創作にも取り組むなど、新たなチャレンジを続けているといいます。
「常に女性の成長、力、社会性をテーマとした制作を続けていきたいと思っています。来年はまた新しい作品に挑戦したいし、これまでに使ったことのない素材でさらに表現の可能性を広げたい」(「アブダビ・アート2016」にて行われたインタビューより。以下同)
■アブドゥル・カデル
ドバイアート界の巨匠として知られるアブドゥル氏。本年もワールド・アート・ドバイ、アブダビ・アート双方への出展を果たし、注目を集めました。
「リアリスティクス(写実)とアブストラクト(抽象)の融合を目指しています。特に今年発表した新作ではリアリスティクスの表現を追及するために、細かい木目などディティールの表現にこだわりました。アブストラクト的な部分は、アラブのカリグラフィを用いて、人間の心のドアやそれぞれが抱える秘密に触れるような表現を目指しました」
■サイフ・アリー
ドバイを拠点に活動し、今年初めてアブダビ・アートへの出展を果たしたサイフ氏。イギリスの文化芸術をベースに、中東アートとの融合を追及しています。
「本年の制作テーマは『旅』。世界地図を背景に、ドバイの高層ビルを独特のタッチで描くことで、中東と世界の繋がりを示しました。人と人との結びつきや精神性にフォーカスし、作品を通して愛や想いを表現したいと考えています」
ジャパンプロモーションでは、世界中の新旧アートが集い、新たな可能性を積極的に拡大し続ける中東アートシーンに注目し、海外での活躍をご検討中のアーティストのプロモーション、ならびに日本文化の様々な魅力を発信していきます。
世界各国から熱い注目を集める「ワールド・アート・ドバイ」。開催が近づく2017年度の同イベントに、ジャパンプロモーションからも24組のアーティストが出展します。
盛り上がりを見せる中東アートシーンの最中、確かな実力を持つ日本人アーティストの活躍に注目が集まります。
【World Art Dubai 2016】 ドバイライフTVで特番放映
【World Art Dubai 2016】 ドバイのトップアーティストたち
【World Art Dubai 2016】 アラブ王族が来場 現地大手メディア各社も注目
経済・観光の世界都市から発信「ワールド・アート・ドバイ 2016」
World Art Dubai 公式ホームページ(英語)