2016年10月21日(金)~23日(日)、フランス・パリの代表的なアートフェア「Salon Art Shopping Paris」の秋期イベントが開催されました。舞台となった「カルーゼル・ドゥ・ルーヴル」は、ルーヴル美術館直通のサロンスペース。ファッションの殿堂パリ・コレをはじめ、名だたるイベントが多数開催されている格式高い会場です。
同じ時期には、現代アートにおける最大級のイベント「FIAC(Foire International d’Art Contemporain)」が開催されるなど、街はいっそうアートの活気にあふれ、Salon Art Shopping Parisにも多数の来場者が足を運びました。
同時期にはフランス最大のアートイベントも開催
膨大な数の来場者がアートショッピングの会場を埋め尽くした
展示される作品の質の高さに定評のあるSalon Art Shopping Paris。フランスだけでなくヨーロッパ各国より人が集まります。
初日のレセプションは、アート関係者にのみ特別開放され、華やかなパーティーが催されました。VIPも多数来場し、いたるところで美術を愛する者同士の交流が見られました。
2日目、3日目もアートファンが一斉に押しかけ、大変な賑わいとなりました。
芸術談議に花を咲かせる来場者の様子
今回22組のアーティストが出品したジャパンプロモーションのブースにも、大勢の来場者の姿がありました。高級感のある作品に囲まれたソファがブース内に設置され、ヨーロッパの生活空間と日本美術が調和した風景は、訪れた人々の関心を集めました。
あるフランス人男性は、ご夫婦で何気なくブース内を巡っているときに、ふと視界に入った「春の窓辺」(和紙ちぎり絵)を見てすぐに購入を決意したと語りました。室内に清涼な光をもたらすこの作品を、奥様へのプレゼントにすると言います。
スイスから来場した女性は、化粧中の舞妓が美しい「手鏡」(写真)と、巧みな技術が表れた「庭園のぶどう」(水墨画)を同時購入。日本に非常に高い関心を持っていると語り、ご主人にもぜひ気に入ってもらいたいと両作品を嬉しそうに見つめていました。
「春の窓辺」を購入のご夫妻
ブースには、コメディ・フランセーズ美術史教授にしてエコール・デ・ルーヴル教授でもあるモンサンジョン氏、ギャラリーオルシャンでアートディレクターをつとめるハンニバル氏、ユニベール・デザール誌編集長のティボー氏をはじめ、さまざまな専門家が来訪し、作品ひとつひとつを丁寧に鑑賞して感想を口にしました。
そのほか、制作過程について熱心に質問される、写真集の購入希望者が相次ぐ、作品を観たギャラリストから委託販売などの要望があがるなど、アート関係者からの多様なアクションがアーティストにもたらされました。
また、芸術への理解が非常に深いフランスでは、加工やプリント技術など表現技法の新しさや発想のユニークさを評価する来訪者の声が多く集まりました。最新技術と伝統工芸を組み合わせた作品が話題を呼んだほか、日本的・東洋的要素の強い作品が好評で、日本美術の根強い人気が表れました。
作品販売に留まらず、アーティストの人脈が広がることや、フランスのアート事情を知ることができるのも、アートフェアならではの現象です。
ジャパンプロモーションのスタッフを通じてアーティストとの交流を深めるモンサンジョン氏(左)
触れて楽しむアートに感心するハンニバル氏