一般社団法人 ジャパンプロモーション ―日本文化とその担い手の活動を支援する

ルーブル美術館直結“パリコレ”と同じ会場での開催

マロニエの葉も色づき、秋の訪れを感じるパリの都で、「Art Shopping Paris 2023」が2023年10月20日（金）～22日（日）の3日間にわたって開催されました。
会場は、ルーヴル美術館直結の複合施設「カルーゼル・デュ・ルーヴル」。パリ・コレクション（通称：パリコレ）が行われている事でも知られる場所です。

同時期にフランス国内で開催されていたラグビーワールドカップ、そして2024年のオリンピックと、世界的なビッグイベントの舞台として注目が高まるパリ。観光客の出足もほぼ2019年のコロナ禍前の水準まで回復し、国際色がますます豊かになるパリの街で、世界各国から作品・ギャラリーが集まるアートフェアは幕を開けました。

今回、一般社団法人ジャパンプロモーションが出展をサポートしたのは、過去最大の107組に上るアーティストの方々。これまでの出展実績やその高いクオリティに、Art Shopping Parisを主催する「GEM ART」の代表 ミリアム・アノネー・カスタネット氏からの信頼を得て、会場入り口すぐから、ジャパンアートを発信する一大ブースを展開しました。

初日20日（金）の19時には、まだ一般来場者の目に触れていない作品を一足先にチェックしようと、VIPや招待客が、アートフェアのオープニングパーティー（ヴェルニサージュ）に集まりました。安全チェックを行う受付や、荷物を預かるクロークには、長蛇の列が。開幕と同時に、会場内は人であふれ、ほとんど歩くことすら困難なほどの混雑になりました。その人波は、それほど多くの人がまだ見ぬ新たな芸術との出会いを求めていることを、何より雄弁に語ってくれます。フェアの開催を歓迎するアートファンの熱気が、ホール中を包みました。

ヴェルニサージュ中には、アーティストによるパフォーマンスも行われ、会場を一層盛り上げました。書道家が目の前で文字を書き上げる迫力のパフォーマンスには、人だかりが。フランス語での意味を伝えると、さらに書を身近なものに感じ、喜んでいる様子でした。

初日の熱狂とうってかわって、翌日からの２日間は、じっくりと作品と向き合い、来場者一人一人が自分だけのオンリーワンを見つけようという穏やかな時間が流れます。ジャパンプロモーションがブースを展開したのは、会場に入ってすぐの、どうやっても見逃せないスポット。多くの来場者が足を止め、このフェアでしか出会えない特別な作品との出会いを楽しんでいました。

年々日本文化への理解・関心が高まっているフランス。アニメ・漫画人気はもとより、会場の徒歩圏内に広がるオペラ座界隈には、バリエーション豊かな日本食レストランが軒を連ね、毎日昼夜を問わず行列を作っています。
そんな中でも、「日本の文化の様々な側面が表れている。日本へのイメージが再構築されて、もっと好きになった！」と言わせるほどの発信力を見せたのが、一堂に会した日本のアート作品たち。細かな手仕事が際立つ作品を角度を変えてじっくりと見たり、驚きの仕掛けがある作品を友達にも紹介してはしゃいだりと、オリジナリティあふれる作品の数々を堪能する来場者の姿が、会期中そこかしこで見られました。

人とのコミュニケーションが好きなのも、フランスの来場者ならでは。作品のことをもっと知りたいと、「この作品に込められた意味は？」「このモチーフの背景は？」「どうやって作っているの？」など質問を投げかけ、また、その答えに自分の想いを伝える。文化の垣根を越えて、アーティストと語り合う姿が印象的でした。

また、アーティストの発信するInstagramで作品を見て来たという方がいたのも、今らしいアートとの接点だと感じました。中には、「アートフェアがどういうものか知らずに来た」というツワモノも。それでも「好き！」という気持ちで惹きつけてしまうのが、アートの力なのかもしれません。

フランスのみならず、世界各地から出展者も来場者も集まった本アートフェア。日本からやってきた作品は、世界中に羽ばたいていきました。
ロシア出身でスペインにお住まいの方、韓国のギャラリーの方、台湾人アーティスト…もちろんフランスの方も含め、多種多様な方が日本のアートに心惹かれ、作品の購入を決められました。
会期終了間際には、短時間で作品の購入を決められたフランス人のマダムも。自分の「“好き“の軸」がはっきりしたフランス人らしさを感じさせるスマートな決断ぶりで、作品と共に颯爽と会場を後にしました。

学校で起きた銃撃事件を発端に、テロへの警戒も高まっていた今秋のパリ。幸い、会期中に混乱が生じることはなく、無事に会期を終えることが出来ました。状況をご理解いただき、共にフェアを盛り上げていただきましたご出展者の皆様に、心より御礼申し上げます。次、この会場に私たちが戻ってくるのは、来年の秋です。再び日本の素晴らしいアートを世界に発信できるよう、尽力いたしますので、今後ともよろしくお願いいたします。