ワールド・アート・ドバイ   上昇の一途をたどる中東新興アート市場

【World Art Dubai 2016】 ドバイのトップアーティストたち

2016.4.15
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文化交流の場としてのアートフェア

中東における貿易・商業の最大の中心地、ドバイ。超高層ビルから市街地を見下ろすと、最新鋭の建造物が林立するその果てには、自然のままの砂漠が地平線を描いています。
ドバイの国家としての独立の歴史は若く、たった20年余りでGDP30倍の驚異的な成長を遂げながらもなお、広い砂漠の地が手つかずで残されており、いまだ発展・開発の途上にあることが見て取れます。自然と人工、その奇妙にアンバランスな風景は、今後も発展を続けるであろう未曾有の底力を秘めていると言えるでしょう。
こうした瞬く間の成長の歴史を担うドバイの人々にとって、何百年という長い伝統を通じて育まれた他国の美術・文化との交流は、実に新鮮な体験なのだと言います。
2016年度のワールド・アート・ドバイにおいても、アンマンからアムステルダム、ニューヨークまで、世界の主要都市のギャラリーが出展し、国際文化交流への意欲がみなぎっていました。それぞれ独自のアートと文化を華麗に競い、お互いの国が次世代のアートの可能性を探ります。
日本文化への関心は非常に高く、作品購入は即決・即金が基本的な取引となりました。また、会場の内外で重要な交渉の場を得、普段お目に掛かれないような方々ともお会いすることができました。

アラブ首長国連邦初の女性博士 ナジャット・マッキー

かねてより日本美術に関心が高く、ご自宅にご招待いただいてお話をうかがうことができました。
ナジャットさんは、エジプト・カイロの美術大学で彫刻の修士号を取得後、2001年に美術・美学の博士号を取得され、女性としてアラブ首長国連邦で初めての博士となりました。厳しい性差社会の中東において、筆舌に尽くしがたい苦労もあったようです。
女性トップアーティストとして実績を積み上げてきたナジャットさんは、現在、ダウン症の子どもたちのための協会「UAE Down Syndrome Association」において、アートを通じた支援活動を行っています。2015年にはヴェネツィア・ビエンナーレに出展されました。
アトリエでは、すでにカタログ・レゾネに掲載されているような貴重な作品も、惜しげもなくご披露いただきました。ナジャットさん自ら、丸1日かけて仕込んだ手料理でおもてなししてくださったのも、感動的でした。
後日、王族など関係者限定の美術展にも特別に招いてくださったのですが、すれちがう人がみな彼女に最高の歓迎の言葉を寄せ、そばにいるだけで特別な人徳を持ったアーティストであることを肌で感じることができました。

まるで昔からの友人のように、手厚いディナーをふるまってくださった

ドバイ現代美術界の巨匠 アブドゥル・カデル

ドバイの誰もが知る国民的アーティストで、国内全線で彼の作品が描かれた電車が毎日運行しています。大英博物館、ルーヴル美術館、カタール美術館など、世界中の美術館に収蔵され、ドバイ空港内の至る場所に作品が展示されています。
もちろんワールド・アート・ドバイ会場でも、多くのファンに囲まれておられたところを、日本から来たことを伝えると、喜んで応じてくださり、高級住宅街の邸宅にお招きいただきました。
美術学校に通うことなく、独学で学んでいたアブドゥルさんは、ご結婚してすぐ、一時アートから離れましたが、仕事の合間にもデッサンを欠かさなかったと言います。
やがて制作に専心できる環境が整い、一心不乱の活動を経て、コレクターやメディアに見出されるようになり、現在の美術界の重鎮としての地位を獲得されました。
制作中の大作や、新作を紹介していただきながら、中東アートシーンに関してのアドバイスもたくさんいただきました。大きな成功を収めても決して奢ることのない姿勢も、ドバイ国民を惹きつけてやまないのでしょう。

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アブドゥルさんの作品が、毎日線路を行き交っている

 

とてもエネルギッシュで魅力的なお二人のアーティストと接し、中東諸国と日本が意外なほど近くにあることが感じられました。ドバイの人々の、日本文化に対する友好の想いにどのように応えていくか、私たち日本人にとって大きな課題が浮き彫りになりました。

World Art Dubai 2016
会期:2016年4月6日(水)~9日(土)
会場:DUBAI WORLD TRADE CENTRE
International Convention and Exhibition Centre
Sheikh Saeed Hall 3 Stand: F10-F16

関連リンク

>>World Art Dubai 公式サイト
>>World Art Dubai 2016 公式Face Book

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