フランス・パリの代表的なアートフェア Salon Art Shopping(サロン・アート・ショッピング)。会場の「カルーゼル・ドゥ・ルーヴル」は、ルーヴル美術館から地下通路で直結する大型商業施設で、世界各国から来た観光客や美術関係者がつねに行き交っています。映画『ダ・ヴィンチ・コード』で一躍有名スポットとなった、ガラス製の逆ピラミッドの前には記念撮影を楽しむ大勢の姿が。ファッション業界の最先端「パリ・コレ」が開催されているのも、ここカルーゼル・ドゥ・ルーヴルのサロンスペースです。
フランスでは、アートを「国家戦略」「地方再生の切り札」と位置づけ、年間の国家予算約5000億円以上を充てています。日本と比べるとおよそ5倍。それだけに、集客力・販売力にすぐれたアートフェアにはとくに力が注がれます。フランス最大のメディア『Le Parisien』は、Salon Art Shoppingについて「唯一にして大胆なるアートイベント。この絶対外せないビッグチャンスにまた出会える」と評しています。
2016年春期に引き続き、秋期10月21日(金)~23日(日)、22組のアーティストがSalon Art Shoppingに出展します。若手の気鋭作品から、日本文化の粋を極めた伝統工芸品まで、幅広いジャンルの日本アートがパリで披露されます。
フェア全体では、世界中から約450組のアーティストとギャラリーが出展予定。初日には、VIPやコレクター、アート関係者のみを特別に招いたオープニングパーティー兼内覧販売会も盛大に行われます。
今期はフランス最大規模の国際コンテポラリーアートフェア「FIAC」とも会期が重なることもあり、ますますの盛況が予想されています。
ジャパンプロモーションの出展アーティストのなかから、写真家の小林伸幸さんの作品をご紹介します。
小林さんは、万物には神が宿るとする神道の教えと、「優美」に代表される日本人の美意識を、独自の手法で融合させる写真作品を発表しています。
ユネスコ文化遺産認定を受けた和紙(細川紙)に、プラチナ・パラジウム・プリントを施すことで、唯一無二の風合いを醸し出します。このプリント手法は、経年変化が極めて少なく千年以上も色あせることがないのだといいます。「千年後の人類に想いを届けられたら」と小林さん。日本の伝統工芸である和紙と独自のテクノロジーにより、写真芸術の領域を広げています。
「然」写真/プラチナ・パラジウム・プリント、細川紙
「共存」写真/プラチナ・パラジウム・プリント、細川紙
「沁」写真/プラチナ・パラジウム・プリント、細川紙
プロフィール:小林伸幸(こばやし・のぶゆき)
1970年生まれ、埼玉県出身、制作年数18年。2015年Portrait of Nature ~Myriads of Gods~(フィンランド)に出品。2015年Portrait of Nature ~Myriads of Gods~(オランダ)に出品。2015年Taipei Art+ ”Creator’s Story”(台湾)出品。NYにてファインアーツの基礎とオルタナティブプリント技法を学び、細川紙(和紙)とプラチナ・プリントを融合させた独自の作品制作を展開中。